都会でも、どこでも自然の春を。
今日はとてもあたたかく、春のよう。いえ、もう春なんですね。
こんにちは。アロマコンサルティングCHEERSの松本です。
2020年の春はコロナウイルス一色になりそうですが、少しでもリラックスして過ごしたいものです。
そんな早咲きの桜が咲き始める3月。思い出すお客さまがいらっしゃいます。
介護をしているお母さまへのプレゼント
「介護中の母が、住んでいた田舎に帰りたいと言っている。入院中ということや様々な理由で、その願いはかなえてあげられそうにない。山の香りを創ってもらえませんか?」
そんな依頼をいただいたのは、数年前の3月でした。
その田舎とは、奈良県の東吉野村。偶然にも私の義祖母が住んでおり何度も訪れたことのある場所で。
名高いしだれ桜があり、深い山々と清らかな水と空気の、静かでおだやかな時間が流れる場所です。
香りの記憶は、一瞬にしてその場所へ
天然100%のアロマを使って、入院先の個室をスタッフのみなさんのご協力も得て、東吉野の香りでアロマスペースデザインさせていただきました。
毎朝目覚めたときに、どんなことを思ってくださったでしょうか。
目覚めた世界が、すばらしい世界でありますようにと願いを込めて。
CHEERS開業のきっかけも介護から
私の母の介護・看病経験から、アロマを多くの人に伝えたいと思ったことがきっかけです。
常に緊張がつづく毎日
母親を送るにはまだ若い方だった私にとっては、同じ立場の友人もおらず、相談もできず、かといってあきらめることもできず、今思えばぎりぎりの精神状態でした。
大きな病院のICU。
隣の部屋の患者さんたちも生死を彷徨い。
いれかわりたちかわり医療・看護・介護のスタッフさんが出入りし。
ほんの少しの呼吸の乱れ、からだの向きにも心臓をおどらせ。
血圧が下がれば鳴り響くアラーム。
なんとか生きていてほしい。
それだけを願い。
もう一度目をあけてほしい。
それだけを祈り。
「できないことは何もない」
そう育てられた私は、余命を告げられようとも信じることすらせず。
ただひたすら、お医者様にできなくても自分にできることを考えていました。
アロマテラピーがあったから
呼吸を取り戻すにはこの精油かな、むくみにはこの精油だな。
そんな「目的」をあの生活の中に持っていなかったら、数日で何キロも痩せ眠ることも食べることもできず心も疲れ果てていたあのとき、立っていることはできなかったと思います。
そう、何かに打ち込んでいないと。
自分自身のバランスをとれなかった。
病院という場所だったからこそ、五感の中でももっとも原始的で直感につながる「香り」を必要としたのかもしれないとも、今思います。
毎日病院に泊まり込んでいて、朝が来るのが本当に待ち遠しかった。
だんだん明るくなって、日勤の看護師さんが出勤してきて動き出す空気に、どれだけ毎日ほっとしたことか。
あの時よく使っていたティートリーやユーカリの香りをかぐと、そんな朝のことを思い出します。
外はにぎやかになってきているけど、静かな静かな病室の朝のこと。
はりつめた毎日に中のふとしたおだやかな瞬間。
香りがそばにあったんだな。
今日はそんなこともふと思い出して。
アロマテラピーは私にとって目的を持つための「手段」であり、目的をなしとげるために使っていたはずが、心までが癒された、そんな「宝」のようなもの。
芳香療法。
母のためでもあり、私のためでもあった、アロマテラピー。
今でも香りがこの記憶を運んできてくれて。
はりつめた毎日でバランスを崩しやすいひとたちに。
伝えていけたらなとあらためて。
長くなりました。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。